八卦掌を3年間学んでみて
40歳代 男性
私がこの教室で八卦掌を教えていただくようになって、そろそろ3年になります。
この年になるまで、かれこれ30年近くも、伝統空手や沖縄空手、太極拳や少林拳等を修行してまいりましたが、中国の内家拳、その中でも八卦掌と形意拳に以前から興味を引かれ、この教室へ入門させていただきました。
教室での練習は、ちょっといい汗をかいたかな、と思う程度の運動量なのですが、それぞれ基本となる立ち方には、生来、体に柔軟性が欠けている私には、少々、厳しいものがあるのも事実です。でも、指導をしてくださる先生は、じっくりと時間をかけて、各人に無理のない範囲で、丁寧に指導してくださるので、安心して指導のペースにまかせて練習をさせていただいております。
先生が教えてくださる八卦掌の動きや理論は、現在の筋力トレーニングに主体をおいた西洋の格闘技や近代空手の考えとは、随分と違う要素があります。それは最初、受入れ難い部分もありました。でも、3年の練習を経験してきた今、それは、人体構造や運動理論を何千年にも渡って研鑚し、探究してきた中国の先達たちの英知がつまった、珠玉の修行システムであると実感しております。
私がかつて憧れた八卦掌という武術は、中国でも有数の実戦的な技術を誇る、と聞いております。
現在まだ、基本八掌をやっと一通り覚えた段階ですので、この武術が、憧れを抱いたほどに強いのか、また、実戦においてどれほど役立つのか、は分かりません。
しかし、今でも修行を続けている空手でのフルコンタクトのスパーリングにおいて、かつては、筋力にて攻撃を防御し、筋力にて相手を攻撃していたものが、八卦掌の基本を応用すれば、ずいぶんと楽に、ずいぶんと効率よく、それらが行えるようになってきたように思います。
もしかしたらそれが、「インナーマッスル」 「内なる力」と先生が呼んでいる神秘的な中国伝統武術の力なのかな、と思うと嬉しくなる時があります。
あと何年練習すれば、八卦掌の技術だけでフルコンタクト空手やボクシングなどの実戦格闘技と戦えるようになれるのかは分かりませんが、かつて、中国で名を馳せた数々の武術の達人たちがそうしてきたように、私も、この武術の基礎、基本を怠ることなく、日々の修行を積んでいきたいと思います。